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小出裕章さん(原子炉実験所)からの情報

http://www.janjanblog.com/archives/33619

研究者による原発事故情報

小出裕章さん(原子炉実験所)からの情報

原子力安全研究グループの小出裕章さん(京都大学原子炉実験所・助教)よりメールがあり、転載許可を得ましたので、取り急ぎ、送信します。

2011/3/12 午後)

福島原発は破局的事故に向かって進んでいます。冷却機能を何とか回復して欲しいと願ってきましたが、できないままここまで来てしまいました。現状を見ると打てる手はもうないように見えます。後は炉心溶融が進行すると思います。それにしたがって放射能が環境に出てくると思います。

その場合、放射能は風に乗って流れます。西向きの風であれば、放射能は太平洋に流れますので、日本としては幸いでしょう。 でも、風が北から吹けば東京方面が、南から吹けば仙台方面が汚染されます。今後、気象条件の情報を注意深く収集し、風下に入らないようにすることがなによりも大切です。

2011/3/12 夜)

8時の枝野長官の記者会見を聞き、爆発は格納容器と原子炉建屋の間で起き、格納容器はまだあるとのこと、ちょっとほっとしました。もし、それが本当なら、爆発は水素爆発です。そしてその水素は、燃料棒被覆管材料であるジルコニウムという金属と水との反応で生じた水素だと思います。それが格納容器ベントを開いたことで、原子炉建屋に漏洩し、爆発に至ったと推測します。

格納容器は放射能の放出を防ぐ最後の砦で、それがまだ形として残っているということは、せめてもの救いです。その格納容器の中に、海水を注入するという説明でしたが、どうやって海水を送るのでしょうか?そのためにはポンプが動かなければいけませんし、そのためには電源が必要です。電源が失われたからこそ、事態がここまで悪化してきました。何故、いきなり海水を送れるようになったのでしょうか?

原子炉圧力容器内は大変高圧になっており、消防用のポンプ車の吐出圧力では原子炉圧力容器の中に直接水を送ることはできませんが、格納容器の中であれば送れると思います。なお、格納容器の中に水を送る作業はもっと早くやれたはずだと私は思います。

もし、格納容器内を海水で満たすことができるのであれば、もちろん原発は2度と使えませんが、最悪の破局は免れることが出来ると私は思います。格納容器内の海水にホウ素を混入させることは必要です。今直面している危機は、原子炉が溶けてしまうこと、そして一度は停止させたウランの核分裂反応が再び始まってしまうことの2つです。

原子炉を溶かさないためには水を供給すること、核分裂を再び始まらないようにするためには中性子を吸収できる物質を供給しなければいけません。中性子を吸収する物質がホウ素です。ですから、ホウ素を混入した海水を格納容器に注入することは有効です。成功してくれることを願います。

政府の提供する情報は大変不十分です。爆発前後で正門前での放射線量が、減ったなどということは、格納容器が破壊を免れたという証明にはなりません。単に風向きが変わった可能性の方がはるかに大きいです。

今後も、あちこちからの情報に常に注意してください。

Hiroaki KOIDE
Research Reactor Institute, Kyoto University
URL          : http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/index.html

小倉文三記者のプロフィール

2007年5月からJanJanフィールドに参入しています。2010年12月末までに、ニホンオオカミ「もどり狼」問題の真相(上)(中)(下)、「沖縄フォト紀行2010」(1)-(13)、「ニホンカワウソいますか?」(上)(中)(下)(付)、その他合計すると231本の記事を書きました。

HP: http://www.kcb-net.ne.jp/narijun